入れ替えっこキャンペーン実施中。
3回目。
突然、気を失っていたヴェイグが女みたいな悲鳴を上げた。
同室のティトレイやマオが ぽかーん としている。
「一体、どういう事ですの!?どうしてわたくしがっ」←CV檜山
鏡の前でクネクネとしているヴェイグは、もうどこかオカシイ。
普段クールなヴェイグがお上品な言葉を使って内股で鏡に向かう趣味があったなんて・・・・・。
ティトレイの頭の中で「女装癖」という称号を親友に上げていたのは内緒である。
「ティトレイ、今の悲鳴は何だ!?」
食堂で話をしていたユージーン、アニー、ヒルダの3人が部屋を訪れた。
そしてその3人も突然なヴェイグの変化に唖然とする。
「ヴェイグ・・・・・・さ、ん・・・?」
こんなのでは、100年の恋も一気に冷めてしまう。
「一体全体どうしたって、言うんだよヴェイグ! いつから、こんなシュミがっ!?」
「そーじゃないでしょ、ティトレイ!きっと頭の打ちドコロが悪くて、オカシクなっちゃったんだヨ!ネ?」
「そうなの・・・・・・・・?」
「わ、わたくしは―――――――っ!」
「アガーテ!!」
口篭もっているヴェイグは、突然呼びかけられるとハッと顔を上げた。
「ヴェイグ!!」
クレアの身体をしたヴェイグはカカカカッ、とヒールを鳴らしてモジモジとしている自分の襟首を掴んだ。
「おい!これは一体どういうことだ、説明しろ・・・!」
さすがに美しいクレアも、根暗な怖い顔のヴェイグの心が入れば迫力があった。
「説明、と言われましても・・・わたくしにも一体どういうことなのか・・・っ!」
「月のフォルスがないと、入れ替われなかったんじゃないのか!?」
目の前で繰り行われているこの状況、飲み込めない5人がただ黙って見ているしかなかった。
「あのー、もしもし?」
それを壊したのは、ティトレイだった。
「何だ?」
「急に口が悪くなりましたねー、アガーテ陛下」
あははははは、と空笑いをしていうティトレイにアガーテだったクレアは低い声で「ヴェイグだ」と答えた。
そして、怖い顔をしているクレアに襟首掴まれて瞳を潤ませて泣きそうなヴェイグは控えめに手を上げて「アガーテです」と答えた。
「なんだそりゃぁぁ!!!?」
ティトレイは他の5人の気持ちを代弁して叫んだ。
「つまりー、ヴェイグとアガーテの心が入れ替わっちゃったん・・・・だよね?」
しかしヴェイグはクレアの身体で、アガーテがヴェイグの身体というのは不自然過ぎて理解するには時間がかかった。
「きっと、入れ替わるのが癖になっちゃったのかもしれないわね。アンタ」
ヒルダが冷たくあしらい、指を差すとヴェイグの身体をしたアガーテはシュンと落ち込んだ。
「本当にごめんなさい・・・・・・・わたくし、」
「ヴェイグさんのそういう顔、あんまり見たくないかも」
アニーはクレアの身体をしたヴェイグと見比べて、そう呟いた。
同じくティトレイも見比べて、ウンと頷いてヴェイグに声をかけた。
「でもさ、ヴェイグ。これで良かったんじゃねえか?」
「何故だ・・・・・?」
「考えてもみろよ。 お前がクレアなんだぞ?お前がクレアを守ってるんだぞ?」
「・・・・・そうか!」
「な?クレアの身はお前自身が守れるってことだ」
しかめっ面していたクレアの表情がぱあ、と急に明るくなった。
「ありがとう、ティトレイ。お前の前向きさもたまには役に立つ」
「っ! あ、ああ・・・親友だろ!!」
中身がヴェイグだとわかっていながらも、やっぱりクレアみたいな綺麗な子に微笑まれるとドキっとしてしまうティトレイだった。
「みんな、今日はもう遅い。難しいことは明日考えるとして、今日はもう寝るんだ」
ユージーンがそう提案すると、皆もそう思っていたようで行動に移るのが早かった。
「そうだネ。難しことは寝てスッキリしてから考えよー!じゃぁ、オヤスミー!!」
ヴェイグは男の方の部屋で、アガーテは女性の方の部屋で眠ることにした。
余談だが、ヴェイグは寝る前にトイレに行った。
洗面所に映るクレアの姿は、ヴェイグが知っているクレアの顔ではなかった。
自分の姿では気付かなかったが、確かに皆が言う通り自分は怖い顔なのだと自覚した。
(クレアは笑顔が似合う・・・・・・・・)
例えば―――――。
ヴェイグは鏡に向かって笑んだ。
鏡の中のクレアはとても愛しそうに笑っていた。
「・・・・・・・・・・・・」
ヴェイグは目を伏して、トイレの個室へと入った。
幼い頃に一緒に風呂に入ったクレアの身体だったが、やっぱりあの頃とは違っていて―――。
(すまない、クレア。必ずお前の身体は返す・・・!)
罪悪感に苛まれる夜は更けていく。
「わ、わたくしが剣を振るうのですかっ?」
やはり、睡眠をとって頭をスッキリさせた後では考え方が明らかに違った。
昨夜は思いつかなかったが、パーティでの主戦力であるヴェイグが戦えないことは大きな問題だった。
一応、ヴェイグが試しに自分の剣を持ってみたが、さすがにクレアの身体では剣を持つことすらできなかった。
ティトレイとユージーンの2人で前線は十分だが、長期戦ともなると2人では危なかった。
「もっとアンタが前衛として頑張ればいいのよ」
「頑張ってるさっ!」
「すまない、俺がもう少し若ければ・・・」
「ユージーンは悪くないよ! ティトレイが悪いんだよ!」
「俺かよっ」
などと言い争っているうちに、ヴェイグなアガーテの参戦が提案された。
「わたくしにできるかしら・・・?」
「大丈夫!ヴェイグは初心者でも扱いやすいから!(なんたって主人公だから!)」
↑2Pにヴェイグを頼むときの言い訳。
「元はといえば、わたくしのせいです。責任をとります!」
「そうこなくっちゃ! ちょっと待っててヴェイグの武器持ってくるから」
マオが部屋に戻っていくと、ヴェイグはアガーテに訊ねた。
「大丈夫なのか?」
「貴方の身体でしょう? きっと戦い方は貴方の身体が教えてくれるはずです。これ以上貴方に迷惑はかけません」
「・・・・・・あまり、無茶はするな」
「貴方こそ。クレアの身体で無茶はしないでください」
「・・・・・・・・・わかっている」
しばらくして、マオが重たそうな剣を引き摺るようにして戻ってきた。
「はい、アガーテ様。ヴェイグの武――――わわわっ!?」
「どうし―――きゃぁぁ!?」
「マオ!?アガーテ!?」
突然ガポッと鞘が外れて、落ちた鞘にマオの足がぶつかりバランスを崩してアガーテに伸し掛かるように倒れた。
危ないと支えようとしたアガーテは、剣とマオの体重が伸し掛かってそのまま後ろに倒れた。
ドターン、という音を聞きながらヴェイグは目を丸くした。
「大丈夫か?」
とりあえず、アガーテの上に乗っているマオを剥がしヴェイグは2人の肩を叩いた。
「ボクは何とか・・・・・・・あー!?ボクがいるーっ!!」
一番先に気付いたのはマオだったが、マオはヴェイグに支えられている自分を見つけて驚いた。
「何?」
「ってことは、ボクがヴェイグってことなんですけど!!」
マオは自分の顔をペタペタと触って、最後はヴェイグの三つ編みの髪を引っ張って確認した。
「わ、わたくし・・・・・・また替わって・・・・・・・・!?」
マオの身体を手に入れたアガーテは絶句した。
アガーテ→マオ
マオ→ヴェイグ
ヴェイグ→クレア
――なかがき――
とりあえず、アガーテが○○○○○○になるまでやります。
もう、順番は決まってますが、詳しいことは未定。
オチも決まってないー(笑)
なので、ここまでUPして一段落着いてみました。
意外とマオが掴めていないことに大慌て。
大好きなのに。。。。
微妙にアニー→ヴェイ→クレアっぽく。
ティトヒルっぽくを目指してます・・・。
2005.02.09.
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