Hey-Bee!!

 

 

ティトヒル

 

 

 

 

 

 酒は好き。

 とっても好き。

 酒を飲めば飲むほど、嫌な事を忘れさせてくれるから。

 アルコールの強い酒が一番好き。

 すぐに体が熱くなって、すぐに酔いが回ってくるから。

 

 

 氷の入ったグラスをカランとスティックで混ぜて音を鳴らす。

 薄暗いバーの雰囲気、奏でられるジャズが一層グラスに入った酒の味を美味しくさせる。

 ツン、と香る酒を一気に煽って飲み干した。

 一番に感じるのは苦味、でもすぐに濃厚な味が口いっぱいに広がる。

 

 強い酒は一気に飲むとクラッと頭が重くなるけれど、それがいい。

 一時的な酔いで、嫌な事を全てどうでもよくなるから。

 そう、どうでも・・・・・・・・・。

 

 

 あの人に振られた時も、そうだった。

 ハーフであることに、一番嫌悪を抱いた夜にも酒を飲んでいた。

 すぐに忘れたかった。

 あの人に振られたことも、私がハーフであることも。

 全て忘れたかった。

 そして酒は、しらふでいる時では思いつかなかったことを思いつかせ、不思議な勇気を与える。

 

 そう、私がハーフでなければ良い。

 忌々しい角に触れた。

 そして、酒の勢いは私にも勢いをつかせて―――――――折った。

 角を折った。

 今まで、空高く向いていた角は短く折れた。

 気持ちがよかった。

 目立たなくなれば、それでよかった。

 あの時は。

 

 でも、すぐに後悔がくる。

 そんな時も、私は酒に溺れていく。

 

 

 

 

 

 「おい、ヒルダ飲み過ぎなんじゃないのか?」

 「ティトレイ」

 カウンター席に座っている私にティトレイは心配そうに声をかけながら隣の席に座った。

 まだなみなみと注がれているグラスを横目に私に注意する。

 「酒は飲みすぎると毒だって言うぜ?」

 「・・・・・・だから?」

 「だから、もうその辺でやめとけよ」

 そう言うティトレイにお構いなしに私は、また一杯グラスを飲み干した。

 そして、バーテンダーに今飲んだのよりももっと強い酒を注文した。

 「あ、コラ!」

 「私が飲むのは、私の勝手でしょ?それに、酒を飲んだ事のないアンタに言われたくないわ」

 「なっ!?――――――よしっ!」

 バーテンダーから受け取ろうとしたグラスをティトレイは横から奪い取り、グラスを一気に飲み干した。

 「ちょ・・・・・、アンタ、何やってるの!」

 案の定、彼は面白いように後ろに倒れた。

 顔は赤いのか青いのか・・・・・・・マーブル、と言ったところかしら。

 「うぁ・・・・・・、世界がぁ―――まわっ・・・・・???」

 「バカね」

 そうやって意地を張って飲んじゃうのが、お子様なのよ。

 「アンタに介抱してもらうつもりが、介抱してあげるなんて」

 でも、それもいい。

 バーテンダーに勘定を払い、堕ちたティトレイの腕を引っ張り起こす。

 そして、耳元に囁いてあげた。

 きっともう、朝には忘れているでしょうけど。

 

 

 「アンタに免じて今日はもう、終わりにしといてあげるわ」

 今日のところは・・・・・、ね。

 

 

 

――あとがき――

色々書いていて、面白く書けるのがやっぱりティトヒル。

もう、リバースでの「尻に轢かれマン」でティトレイはお願いします(笑)

ティトレイの自由称号は「シスコン」にしてあるんで、あえなく使えないんですよー、残念!

 

ヒルダの角を折った時、ホントどういう状況だったのかな〜っというのを思い浮かべてみました。

こんなんはどうでしょう?

2005.02.19.

 

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