Hey-Bee!!

<注意!>

    血とか死とかの表現がありますので、苦手な方はブラウザバックで戻ってください。

 

 

 

太陽に背いて

 

 

 

 「とどめを・・・・・ささないのか・・・・・・?」

 

 

 先へと進もうとするヴェイグ達を睨みながらサレは不思議そうに訊ねた。

 大怪我を負った。

 しかし、死ねる程ではない。

 階段で蹲るサレを通り過ぎて、ティトレイが嫌味そうに言う。

 

 

 「頑張って生きろよ」

 

 

 ティトレイにとって、嫌味ではないかもしれない。

 けれど、サレにとっては馬鹿にされたとしか思えない。

 その一言がどんなにズン、と重く圧し掛かった事か。

 どんなに殺されることよりも強く大きく衝撃を与えたことか。

 

 (惨めすぎる)

 

 頭の中にはそれしかなかった。

 惨めすぎる。

 殺そうとしていた相手に、まさか生かされるとは!

 本気で殺そうとしていた彼に、目的はお前じゃないといわれた辛さは彼を怒らせるのには十分だった。

 サレは狂ったかのように叫ぶ。

 

 「殺せ、殺せよぉぉぉ!!」

 

 こんなに惨めな思いを描きながら生きていかれない。

 どうせなら、死んで終わりにさせたかった。

 

 「殺せって言ってるだろうが!! こんちくしょうがぁ!!」

 生殺しの辛さ。

 彼らにとって、自分は本気の相手ではなかった。

惨め過ぎる自分を知りながら、生かされている。

 それが、何よりも許せなかった。

 

 

 「・・・・・・ッ!!」

 ドスッ、とサレの望んでいた衝撃が腹を貫いた。

 腹から伸びた鉄はゆっくりと引き抜かれた。

その穴からじわりと赤が飛び出して、紺色のサレの服を黒く染める。

「・・・・・トーマ・・・・・」

ゆっくりと振り返ってサレは微笑んだ。

対照的に険しい顔したトーマは、持っている武器をグリッと半回転させた。

「死ね、ヒューマ!」

しかし、その痛みはまったく先ほどの一言よりは軽いモノだった。

「そういうこと・・・・・、でも・・・この程度なのかい!?」

このまま死んでもいい、と思っていたけれど、ガジュマなんかに踊らされていたと思うと腹が立つ。

「これは僕からのお礼だ」

腹に大きな穴を開けられたにも関わらず、サレは同じくトーマの腹に剣を突き刺す。

同じく大きな怪我を負っていただけにトーマは逃げる事も叶わずそのまま地に伏した。

 

 

フゥ、と溜め息を吐いてからサレもゆっくりと倒れた。

階段の端で顔を擦ったが気に止める力すらない。

自らの血で出来た水面には、苦痛に歪む己の表情。

(まさか、自分がこんな顔をするとは)

ここを通るだろう彼らにこんな顔は見せられない。

サレは血溜まりに映る自分の顔を殴った。

そして、笑みを浮かべた。

 

 

 

僕は、結局太陽に背を向けることしかできないんだね。

 

 

 

――あとがき――

最後の「太陽に背を向ける」の意味は「結局、素直になれない」ということです。

感じる痛みも誤魔化してしまう、自分にちょっと後悔している・・・って感じですかね。

そんで、笑みを浮かべて死んでいったサレを、

「あ、ピーチグミ切らしてた!」

っと、後戻りしたヴェイグが発見した時の「・・・・・・・・」が涙を誘います。

 

しかし、あそこにサレとトーマが置き去りにされているのがちょっと新鮮でしたね。

他のゲームだったら、片付けられてますもん。

フィールドを出て、カレギア城下町の道具屋で道具を揃えて戻った時も、2人の亡骸があって、

何度も話し掛けていたのは言うまでもありません。

むごい・・・っ!(土下座)

 

しかし、RPGゲームのSSは久々に書かしてもらうんで大変ですね。

映画の時もうろ覚えで書いていたんですが、DVDが入ってからは何度も見れるようになったんですが、

ゲームの場合は、もう一度見たいときは最初からやり直さなきゃいけないんですから。

なので、サウンドチェックのシナリオボイスを聞きながら書きました。

順番や状況がおかしかったら、すみません。

 

ちなみにタイトル名は愛しのレオナルド・ディカプリオのホモ映画のタイトルからパクったもの。

2005.01.27.

 

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