サモンナイト3(アリーゼ→レックス)
光の届かない暗い道を一人、アリーゼは歩いていた。
ここがどこだか解らない、そしていつも一緒にいる友達の召喚獣キユピーも家庭教師であるレックスの姿もない。
本当に一人。一人でどこかも検討のつかない暗い道を歩いている。
「先生ー、キユピー?どこー?」
大きな声を上げてレックスとキュピーを探してみたが、アリーゼの声が響くばかりで他の音がない。
アリーゼの細い眉はとうとう曲がってしまって、目には涙を溜めている。
(怖い・・・・・!!)
いつも近くに誰かしらいてくれていたアリーゼは急に“独り”を意識しだしてガタガタと肩が大きく震えた。
大きな屋敷の部屋で寝るときは一人でも、部屋を出れば屋敷の中にはたくさんの人がいたし、海賊船でお世話になればそれはそれで毎日が賑やかでとても楽しかった。
けれど、今は一人。誰もアリーゼを安心させてくれるものがない。
(どうしよう・・・・・っ)
不安に陥っているアリーゼに追い討ちをかけるように黒く大きな影が背後から忍び寄ってくる。
「え?――――きゃああぁぁぁぁ!!」
黒い影に今にも呑みこまれそうになって、アリーゼは悲鳴を上げて暗い道を一生懸命掛けていく。
走って、走って、走って、走って、走って!!
追いつかれる!!
けれど、走っているアリーゼの足元がグラリと大きく揺れて、地割れをするかのように崩れていく。
「いやあああああ!!」
崩れていくのを待ち構えていたかのように黒い影は赤い口を大きく広げた。
(食べられちゃう――――!!!!)
もう、ダメだ。と意識をしたアリーゼに一筋の光が照らし出した。
「アリーゼ!!!!」
「先生!!」
光の中から手を伸ばしてくれる、赤髪のレックス。その肩にはキユピーの姿も見える。
「早く、掴まるんだ!!早く!!」
「先生、先生、先生っ!!」
宙をもがくアリーゼの手を必死に取ろうとするものの、何度も掠めて掴められない。
「アリーゼ!!」
「先生―――――――!!!」
アリーゼの体が弧を描いて、黒い影に飲み込まれ落ちようとしていた・・・・・・・・。
「――――――アリーゼ!!」
ハッとして、アリーゼは目を覚ました。
薄暗い、木製の天井が視界を占領する。
「・・・・・あ、あれ・・・・?」
心なしか、目が覚めたアリーゼの呼吸が乱れていた、寝汗もビッショリとかいている。
「大丈夫か、アリーゼ?」
ベッドから体を半分起こしたアリーゼは、すぐに隣にレックスの姿を見つけて驚愕した。
「先生!」
「どうしたんだ、俺のこと必死に呼んで。怖い夢でも見たのか?」
レックスは笑いながら、アリーゼの汗をかいて額に張り付いている茶色の髪をそっと取ってやった。
優しい笑顔にアリーゼはフッ、と目から涙を零した。
「良かった・・・・・、です」
「怖い夢を見たんだな」
泣きついてくる可愛い我が生徒の頭を軽く撫でながらレックスは微笑し目を細める。
「ごめんなさい、先生。ちょっとだけ、ちょっとだけこうしていて下さい」
「ああ。もう大丈夫、俺がちゃんと側にいるから」
レックスのその言葉を聞くと安心したかのようにスゥ、とまたアリーゼは寝息を立て始めた。
――あとがき――
サモンナイト3で初クリアした時のカプリング〜vv
アリーゼちゃんが可愛すぎます。
生徒としてしか扱ってくれないレックスにヤキモキしているアリーゼが好き!
ノーマルカプでは一番好きなこの2人。
ノーマルではないのはもちろん・・・・・・・・(笑)
2005.01.10.
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